Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
陽菜からそんなふうに持ち上げられて、遼太郎は苦笑して肩をすくめる。
今思えば、たったあれだけのレポートだったのに、書くのにかなり苦戦してしまい、他の生徒よりも随分みのりの手を煩わせてしまった。
「意識が高いどころか、レポートの内容はめちゃくちゃだったけど。…でも、原点回帰して、こういうテーマを調べてみても面白いかもな。」
遼太郎は、陽菜に向かって答えるというより、自分自身に向かって呟いた。
日本人がこの国の歴史を積み重ねてきた間に、どの時代にも日本人を取り巻く〝環境〟があったはずだ。人と環境との間に〝問題〟があって、それに対応したり解決したりしてきたはずだ。そして、現代においても、そこから学び取れることがあるかもしれない……。
何よりも〝歴史〟を掘り下げることは、みのりにも繋がっていられる気がした。
遼太郎かみのりに想いを馳せている一方で、陽菜は遼太郎の呟きの言葉を聞いて、自分のことのように目をキラキラさせて乗り気になった。
「わぁ!ホント面白そうですね!またいろいろ調べて、役立ちそうな情報があったら、お知らせしますね。」
相変わらずな陽菜に、遼太郎は諦めにも似たため息を吐く。