Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
22 再会の日
「仲松先生、忙しいところを申し訳ないんだが、この研究会に出席してきてくれないかな?」
地理歴史科主任の吉成先生からそう持ちかけられたのは、九月になったばかりの頃だった。
「これ、僕が行く予定にしていたんだけど、高文連の会議が入ってしまってね。僕は新聞部の方の責任者だから欠席するわけにはいかなくて。三年部の先生には、この時期頼めないしね。仲松先生にお願いしたいんだ。」
たしかに、この9月は三年部は指定校推薦の業務で、休みがないほど忙しいのは、みのりも十分知っている。吉成先生にそう言って懇願されながら、渡された書類に目を落としてみると、研究会の場所は〝東京〟だった。
「もちろん出張扱いになるから、旅費も出るよ。」
「………。」
考え込むみのりに、吉成先生はその気がないと判断したらしい。肩をすくめて、みのりから書類を受け取って背を向ける。
「しょうがない。せっかく申し込んでたんだけど、この研究会は欠席するって連絡を入れるよ。」
「……待ってください!!」
とっさに、みのりはそう言って呼び止めていた。ニッコリと吉成先生は笑って振り返ると、もう一度その書類をみのりに渡してくれた。