Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
みのりと一緒にいる時間は、いつもこんなふうに楽しかったことを、遼太郎は思い出した。
楽しい時間の合間、時折見せてくれるみのりの仕草や表情にキュンと心が痺れて、それはとてもかけがえのない時間となった。一緒にいる間は時の過ぎゆくのを忘れ、いつもあっという間にその時間は過ぎ去っていってしまっていた。
きっと今のこの時間も、あっという間に過ぎていってしまう。ぐずぐずしていると肝心なことを話せないまま、みのりは帰ってしまうかもしれない。
「先生は、今日帰るんですよね?何時の飛行機ですか?」
確かめるために、遼太郎は手を動かしながら、みのりに尋ねてみた。
「うん、飛行機は五時くらいだったかな?せっかく東京に来たんだから、いろいろ行きたいところもあるし。かと言って最終便だと、明日も仕事があるのに遅くなりすぎるし。」
「行きたいところって、どこですか?」
誰かと会うのでなければ、一緒に行くのも一つの手だと、遼太郎は思った。
「うーん、そうねぇ。上野の国立博物館は、何か企画展をやってるのかな?」
みのりの行動パターンがこんなふうに相変わらずなことにさえ、遼太郎は愛おしさを感じてしまう。
普通の会話の中の何気ないことの一つひとつから、みのりの日常が垣間見える。それは、遼太郎にとってとても大切なことだった。