Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「ほら、昨日の。……『陽菜ちゃん』だったっけ?」
陽菜の名前を聞いた途端、遼太郎の顔つきはますます険しくなり、みのりの言葉をきっぱり否定した。
「長谷川は、彼女でもなんでもありません。あの博物館のことを教えてもらったから、たまたま一緒に行っただけです。」
それを聞いて、みのりの心が少しぐらついた。
でも、大学に入って彼女を作った遼太郎は、もうとっくにみのりから〝卒業〟してしまっていて、今彼女がいるかいないかは問題ではない。
それに、昨日会った陽菜は、遼太郎の完璧な彼女になり得る人物だと、みのりの目にも映った。
「……だったら、陽菜ちゃんをきちんと彼女にしてあげなさい。あの子はあんなに可愛い子だし、とても真剣に想ってくれてるじゃない。きっと狩野くんのためになってくれるから。」
遼太郎は、みのりからそんなふうに諭されても、ぐらつかなかった。今目の前にみのりがいるのに、ほかの女性のことを考えられるわけがない。
「長谷川のことを彼女にしようなんて、これっぽっちも思ったことはありません。」
「どうして?大学生になって、何人か彼女がいたんでしょう?」
「大学に入ってから彼女を作ったのは、先生に言われたからです。」
「……私に?」