Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「それじゃあ、答えになってません。先生にプロポーズした人のことが好きなんですか?もう……、俺のことは何とも思ってないってことですか?」
遼太郎も唇を震わせながら、みのりから真実を聞き出そうと必死だった。
「……そういうことね。」
自分の心を偽るのが、こんなにも苦しいものだったなんて、みのりは改めて思い知った。
一言発せられたみのりの返事を聞いて、遼太郎は震えていた唇をキュッと引き結んだ。
高校生の時の遼太郎なら、ここで何も言い返せず、失望していたかもしれない。だけど、今はもう、みのりに言われたことを素直に受け入れることしかできない子どもではなかった。
遼太郎は、覚悟を決めたようにみのりの両腕を掴んで、みのりを正面から見据えた。そして、自分の中に生まれていた一つの確信を切り出した。
「……じゃあ、なんで?先生はなんで、この辺りにいたんですか?俺の家に来ようとしてたからじゃないですか?」
遼太郎に真実を突かれて、切なさに震えていたみのりの心臓が、突然跳ね上がった。
「違う。ここに来ようなんて思ってなかった。散歩してたら、道に迷って……。」
とっさにみのりは首を横に振って、遼太郎の言葉を否定した。胸が激しく鼓動を打ち始めて、自分でも制御できなくなるほど感情が乱れ始める。