Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
それは遼太郎も同じで、どうやって自分の心を表現したらいいのか、どうしたらみのりを繋ぎ止められるのか、もう分からない状態だった。
「嘘だ!!何の用もなく、こんなところに来るはずがない!」
いつもの〝優しさ〟というフィルターがかけられず、遼太郎は思わず叫んでしまった。
その激しさはみのりの心を貫いて、堪えていた涙が堰を切って溢れだしてくる。もう自分を偽ることができず、すべてをさらけ出すしかできなくなる。
「……嘘じゃない。ただ……。ただ、最後に狩野くんの姿を一度だけ見ようと思って……。それで、自分の気持ちに見切りをつけて諦めようって……。」
「諦めるって、なにを諦めるんですか?」
「狩野くんには、あんなに若くて可愛い彼女がいるから……、私なんて狩野くんにとってもう邪魔な存在だから……、この想いはもう諦めなきゃって……。」
大粒の涙が止めどなく流れて落ちて、みのりの顔を濡らす。涙声を途切らせながら、その想いを遼太郎に打ち明けるとき、みのりの胸がキュウっと絞られて痛くなった。
遼太郎の中にも、止まることのないみのりへの想いが溢れてくる。
――諦めなくてもいいです。
そう言おうとしたが、愛しさが募ってなにも言葉にはならなかった。言葉の代わりにそっと腕を伸ばして、みのりを抱きしめた。