Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「俺が芳野を離れる時も、先生は同じことを言ってました。でも、何度同じことがあっても、それは関係ない。先生と離れてみて、はっきりと分かりました。どんな時でも何があっても、俺自身がどんなふうに変わっても、いつも心の中に想うのは先生だけ。それは、俺が死ぬまで変わりません。」


 遼太郎のまっすぐな目に表れた深い想いが、みのりの全身に沁みてくる。震える心を映した眼差しで、みのりも遼太郎を見つめ返す。


「……もし、俺のためにと思ってくれてるのなら、俺の側にいてください。俺がこれから生きていくうえで何よりも必要なのは、先生なんです。」


 もうみのりは、自分を偽ることができなくなった。遼太郎がいなければ生きていけないのは、みのりの方だった。


「……遼ちゃん……!」


 みのりの想いは何も言葉にならず、瞳を閉じ涙をこぼしながら、ただ遼太郎の名を呼んだ。それは、遼太郎を〝恋人〟として呼ぶときの、呼び方だった。


 それが遼太郎の胸に響いて、想いがいっそう込み上げてくる。
 遼太郎はみのりを抱き寄せて見つめ合うと、その唇に口づけた。みのりも、そうしてくれるのを待っていたかのように、遼太郎をギュッと抱きしめ返しながらキスに応えた。


 まるで、あの春の日に、みのりのアパートで交わしたキスの続きをしているようだった。
 今はあの時よりも幸せな切なさを伴って……、溢れてくる想いのままに夢中でキスを重ねた。



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