Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「でも昨日、あなたのことが好きな彼女の前で、ただの先生と生徒のフリしたでしょう?彼女を裏切って……きっと傷つけるわ。」
たしかにみのりの言うとおりだと、遼太郎も思った。だけど、そんな〝気がかり〟くらいで、遼太郎は今の自分を止められるわけがなかった。
「長谷川を裏切ることよりも、俺はもう、自分の気持ちを裏切ることができないんです。」
体を起こした遼太郎は、みのりにまたがったまま、そう言いながらシャツを脱ぎ捨てる。
いきなり目の前に現れた遼太郎の、息を呑むように美しい体。みのりも例に違わず、遼太郎に見入って固まってしまう。
この芸術品のように美しい体を、かつての遼太郎の彼女たちは知っているのだろうか……。遼太郎はこの体で、どんなふうに彼女たちを抱いたのだろう……。
そんなことが頭に過ぎった瞬間、みのりの心に言いようのない切なさが立ち込めてくる。
「……まっ、待って!遼ちゃん、ダメなの。……私!」
みのりの前開きのワンピースのボタンを外していた、遼太郎の手の動きが止まる。遼太郎がみのりを見下ろすと、みのりはワンピースの開かれた胸元を両手で引き寄せて、ギュッとそれを握った。
「私……もう、遼ちゃんの彼女だった二十歳くらいの女の子みたいに、綺麗じゃない。……きっと遼ちゃん、ガッカリするわ。」