Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「ううん、痛くない。……それより、私のほうこそ、遼ちゃんの背中引っかいちゃった……。」


「大丈夫です……。」


 遼太郎は、短く答えることしかできなかった。初めて経験する圧倒的なこの感覚と、頬を上気させて自分を見上げているみのりが本当に愛しくて、何も他のことは考えられなかった。

 繋がったままキスを交わし、二人の間には、また言葉がなくなった。言葉ではなくお互いの全てで、尽きることのない想いを確かめ合った。



「遼ちゃん……?」


 登りつめた後、汗ばんだ体にみのりを抱きしめたまま、遼太郎が動かなくなったので、みのりはその名を呼んでみた。

 すると、遼太郎は腕の力を緩めて、その中にいるみのりに視線を合わせた。その優しい眼差しに、みのりの胸はまたキュンと切なく痺れる。

 本当に、この人のことが好きだと、みのりは心から思った。この人のためなら、自分の全て……この命さえ捧げてもいいと思った。

 その想いはあまりにも大きく、抱えきれずに溢れてきて、それは涙となってみのりの瞳からこぼれて落ちた。

 遼太郎が黙ったまま手を動かして、そっとその指でみのりの涙を拭ってくれる。その刹那に、みのりは遼太郎を見つめ返して、その想いを言葉にした。


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