Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 改めて遼太郎から疑問を投げかけられて、みのりは途端に顔を赤らめた。正直に言うか少し迷ったが、思い切って口を開く。


「それは…、ちょっと気になって…。遼ちゃん、キスがすごく上手だったから…。」


「え…?!」


 遼太郎は目を剥いて、その後の言葉が出てこない。黙ったまま、みのりの意図するところをようやく理解すると、遼太郎も赤面した。


「…それで、俺がそういう経験を、たくさんしていると…?」


 やっと、遼太郎がそう言葉を返しても、みのりは訝しんだことが決まり悪くて、唇を噛んだまま何も言わない。


「上手いかどうかは、俺はよく判りませんけど、先生がそう思ったんなら、それは多分、先生の教え方が上手いからだと思います。」


 遼太郎は赤面してはいたが、幾分冷静に自分のキスについて、そう分析した。


「…は!?…お、教え方って?私は何も…!」


 遼太郎のキスに応えてしまったのが、教えたことになるのだろうか。
 「教え方が上手い」と言われるのは、教師として最大の褒め言葉なのに、こんなに狼狽(うろた)えてしまったのは初めてだ。
 みのりは思わず唇に手の甲を当て、顔色をもっと赤くする。


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