Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「やっぱり陽菜ちゃんを一人にしちゃダメよ。……もしかして、衝動的に自殺してしまうかもしれない。」
自分を殺されかけたにもかかわらず、こんなふうに陽菜を心配するみのりを、遼太郎はジッと見つめ直した。
「早く、行って!」
動こうとしない遼太郎を、みのりが急かす。けれども、遼太郎はしかめた表情を緩めて、ようやく微笑んだ。
「ああ、大丈夫です。さっき佐山に……、ゼミの友達に連絡して、待合室で待機してくれてます。長谷川を家まで送ってくれるはずです。」
「そう……、なら、よかった……。それにやっぱり、彼女に遼ちゃんを近づけるのは、心配だしね……。」
みのりは胸を撫で下ろして緊張を解き、遼太郎の腕にその体を預けた。昏睡状態から覚めた直後に、狂気を帯びた陽菜と渡り合い、体のみならず心の疲労度も相当なものだった。
遼太郎はそのまま、みのりの体をベッドの上に横たえさせようとしたが、衝動のままに胸の方へ引き寄せて抱きしめた。
遼太郎の心の中にあるものが、言葉となって表現できるまでには、まだ時間が必要だった。みのりはただジッとして、遼太郎の言葉にならない想いを、その抱きしめる腕の力と胸の鼓動から感じ取った。