Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 遼太郎は、頬にあるみのりの手に自分の手を重ねて、みのりの言葉を噛みしめるように目を閉じた。自分を包み込んでくれるみのりの大きな想いが心に沁みて、遼太郎の喉元に今まで以上のみのりへの想いが込み上げてくる。

 そのまま、みのりの華奢な手を両手で握りなおして、遼太郎が目を開けると……、堪えきれずに涙が一筋零れて落ちた。



「先生は、俺のすべてです。先生がいてくれるから、俺は生きていけるんです。俺は、先生を……、愛しています。」



 遼太郎の涙と、その究極の言葉に、みのりの息が止まった。

 遼太郎の声が耳の奥でこだまして、何も考えることができなくなり、みのりの大きな目が溢れてくる涙に潤んで揺れる。悲しいわけではなく、ただ嬉しいだけでもなく、心が震えた。


「俺は、先生のほかに人を好きになったことがないから、よく分からないけど……、ただの『好き』じゃないんです。きっと、今の俺のこんな気持ちを『愛している』って言うんだと思います。」


 何にも増して大切な人がくれた宝物のような言葉を聞いて、みのりは胸がいっぱいになって、何と言って答えたらいいのか分からなかった。

 みのりの手が、おぼつかない力で遼太郎の手を握り返す。涙が溢れるみのりの瞳は、ただ真っすぐに遼太郎を見つめ返していて、とても澄んでいた。


< 689 / 775 >

この作品をシェア

pagetop