Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「気持ち悪い?」
遼太郎が眉根を寄せて、反復する。
遼太郎の初めてのキスは、もちろんみのりに告白した時だ。今日のように深いキスを交わした後でも、あの初めてのキスを思い出すだけで、遼太郎の胸は切なく脈打つ。気持ち悪いとは対極の、甘く美しいものだった。
「そ、気持ち悪い。きっと相手のことを、あんまり好きじゃなかったのよね。」
「あんまり好きじゃないのに、付き合ってたんですか?」
信じられない、といった口調で、遼太郎はもう一度訊き直す。
先ほどの遊園地で、あれだけ深くて激しい想いを示してくれたみのりが、そんな軽い気持ちで、男と付き合ったりするのだろうか。
「そうねぇ…。告白されて、相手のこと嫌いじゃなかったから、OKしちゃったの。男の人と付き合うって、どういうことかよく解ってなかったし、人を本当に好きになるってどういうことかも、解ってなかったと思うわ。」
小雨になった窓の外を見ながら、みのりはそう言って昔を振り返った。
「先生にも、そういう時があったんですね。」
遼太郎がみのりへと、優しい視線を投げかける。