Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「とっても嬉しくて……、もう私、明日死んでもいい。」
みのりが自分の心を素直に表現すると、遼太郎は眉を寄せて、それでいてとても穏やかに笑ってみせた。
「先生に死なれちゃ、困ります。心の中にずっと生き続けることはできても、思いの中の先生は、抱きしめられないから。」
みのりに会えなかった二年半の間、遼太郎はずっと心にみのりを描き続けることしかできなかった。どんなに完璧に描いても、決してそれには触れることはできなかった。
そんな遼太郎の想いが滲んでいる言葉。それは、みのりの胸にキュンと響いて、みのりの眼差しを切なくさせる。
「それに、死にかけてたところを助けてもらったのに、『死んでもいい』なんて言っちゃいけないわね。」
そう言って、みのりも笑いながら切なさを紛らわせる。
でも、心の中では、遼太郎への切ない想いが溢れてきて、止められなかった。
――でも私は、遼ちゃんのためなら、死ぬことだって怖くない……。
ベッドへ肘をついて笑顔を向けてくれている遼太郎を見上げて、みのりはそんなことを思った。
この命より大切な人――。
こんな愛しさを覚えたのは、遼太郎だけ。見返りを求めない愛情が、こんなにも切なくて温かいものだったなんて、みのりは知らなかった。この遼太郎が安らかに笑っていてくれるのなら、すべてを捧げられると思った。
それから、遼太郎の深い眼差しに見守られながら目を閉じると、みのりは間もなく深い眠りへと落ちていった。