Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
――……先生を、大変な目に遭わせてしまった……。
とてつもない罪悪感が、遼太郎に襲いかかる。
どうやったら償えるのだろう。どうしたら、みのりが感じた苦しみを分かち合えるのだろう。
遼太郎はそのまましばらく、うつむいたまま動けなかった。……でも、今の自分がしなければならないことは、こうやって落ち込んでいることではない。
涙を拭って立ち上がると、散らばるタオルをかき集めた。それからバケツと雑巾を持ってきて、掃除を始める。
昨晩から何も食べていないし、ほとんど寝ていない。それでも、遼太郎は動き続けた。何かして動いていないと、この罪悪感に自分が押しつぶされてしまいそうだった。
みのりがここへ来るときには、かなり衝動的だったらしく、着替えなどまともな荷物を持ってきていないようだ。しばらく入院するのなら、必要なものもそろえておかなければならない。
……だけど、男の遼太郎がみのりの下着を買うのは、かなり抵抗がある……。どうしようか…と、遼太郎が思案に暮れていた時に、部屋の玄関チャイムが鳴った。
――こんな時に誰が来る……?まさか、また長谷川が……!?
不審に思って胸騒ぎを覚えながら、遼太郎は雑巾を持ったままドアへと向かう。
「よう。大丈夫か?」
すると、ドアの向こうには、佐山が立っていた。