Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「スマホで連絡取ろうとしたけど、電話は繋がらないし、メールやラインにも反応ないし……、気になったから来てみた」
そういえば病院にいたこともあって、佐山と連絡を取ったきり、スマホの電源を落としていた。
遼太郎はホッとしながら、佐山を迎え入れた。張り詰めていた神経が少し緩んで、気持ちに余裕が生まれてくる。
「夜中に、呼び出して悪かったな。でも、本当に助かった。ありがとう……。」
遼太郎に感謝されて、佐山は肩をすくめる。そして、その場の状況を見回して、親友に声をかけた。
「……大変だったな。でも、そんな大変なときに俺を思い出してくれて嬉しいよ。」
それを聞いて、遼太郎も佐山を見返して、かすかに口角を上げて応えた。
「それで……?お前の彼女の容態は?」
「うん……。もう大丈夫だけど、大事をとってもう少し様子を観てから退院になるって……。」
「そっか。だったら良かった……。」
佐山も肩の力を抜いて居間まで行くと、遼太郎の勉強机の椅子に腰を下ろす。
「……長谷川は……?どんな様子だった?何か言ってたか?」
遼太郎は手にあった雑巾をバケツに投げて、手を洗いながら佐山に尋ねた。すると、居間の方から佐山の大きなため息が聞こえてくる。