Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
――変わっていく遼ちゃんを、傍でずっと見守っていたい気もするけど……。
そんなことがみのりの心に過った時、みのりはとても大事なことに気が付いて、ハッと息を呑んだ。
ワイパーが左右に動くフロントガラスを見つめて、遼太郎は運転している。
その遼太郎の横顔を見つめるみのりの目に、じわりと涙が浮かんだ。
けれども、この涙は決して遼太郎に気取られてはならない。みのりが泣いているのを見たら、遼太郎は心配して、その涙の原因を問い質すだろう。
涙を堪えると体が震える。その震えを、みのりは歯を食いしばって抑え込んだ。
激しい雨の中を歩いたせいで、ブーツの中まで水が滲み、濡れてしまって足が冷たい。
この不快感のような拭い取れないものが、この時からみのりの心を曇らせ苛むようになってしまった。