Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「そう。遼ちゃんがどのくらい自立できてるか、採点するのよ。お掃除は何点、お洗濯やお料理は何点……ってね。」
「……え?!」
病院から持ち帰ってきたみのりの荷物を整理しながら、ギクリとして遼太郎が立ちすくむ。
こんなところは、まだみのりも〝教師〟を抜けられないし、遼太郎も〝生徒〟から抜けられない。
すると、みのりが可笑しそうに笑った。
「冗談よ。そんなことしないから、安心して。……でも、普段の遼ちゃんがどんななのか、知りたかったの。今までは、空を見上げて『どうしてるのかな?』って想像するしかできなかったから……。」
「空を……?」
遼太郎は息を抜いて問い返しながら、みのりの隣へと腰を下ろす。
「空は共有できるでしょう?夜空にある月を見て、『今頃遼ちゃんも、これを見てるかな?』とか、青空に飛行機が飛んでいると、『あれも遼ちゃんのいる東京まで飛んでいくのかな?』とか、いつも思ってた。」
みのりの素直な心を聞きながら、遼太郎は自分の胸がキュンと痺れるような感覚を覚えた。
「いつも……ですか?」
遼太郎に問われて、みのりも自分の言ったことを、自分自身で噛みしめるように頷いた。