Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
みのりの中にある遼太郎が料理をする記憶。それは、みのりのアパートでタマネギを刻む、遼太郎の覚束ない手つき。
「もちろん、普段から自炊してますから。」
自信満々の遼太郎を見て、みのりは驚いて目を見開く。
「……それ、今日中に食べれるの?」
「……それ、どういう意味ですか?食べれるに決まってます。」
みのりに疑われて、遼太郎は少し憤慨したように口を尖らせた。
「それじゃ、ハンバーグ。作ってくれる?食べてみたいから。」
それを聞いて遼太郎も、みのりとの〝別れ〟を経験した日に、みのりのアパートで一緒に料理を作って食べたことを思い出した。
あの日から、自分がどれだけ成長したのか、みのりに評価してもらえる良い機会だ。
「俺の得意料理です。」
遼太郎は自信ありげにニッコリ笑うと、立ち上がって食材を確かめるために冷蔵庫を開けた。
それから、遼太郎は足りない食材を買い出しに行き、すぐに帰ってくると早速料理を始めた。
みのりも立って、キッチンまでやってくる。すると、すでに包丁を握っていた遼太郎が、みのりへと振り向いた。
「……俺一人で作れますから、先生は座って待っててください。」
「うん。分かってる。」