Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 遼太郎のためには、どうすることが最善だったのだろう……。
 思考は何度も行ったり来たりを繰り返す。どんなふうに考えても答えは出ず、どんなふうに考えても、心から不安は消えてくれない。

 遼太郎が言ってくれていたように、パソコンを使う余裕さえなく、みのりはベッドにもたれ膝を抱えて、ただひたすら遼太郎が帰ってくるのを待った。


 すると、ローテーブルに置いてあった携帯電話が振動して、メールの着信を告げる。


『これから、帰ります。』


 遼太郎からの短いメール。たったこれだけで、みのりの心は安堵する。そして、その奥にある恋心もキュンと切なく反応した。


 でも、また油断はならない。帰り道で陽菜が待ち伏せてるかもしれない……。
 再び不安に駆られるのと、遼太郎が恋しいのと、いずれにしても早く遼太郎に会いたくてしょうがなかった。


 しばらくして、ドアの鍵が開く気配がすると、みのりはすぐさま立ち上がって玄関へと向かった。
 遼太郎はみのりがそこに立っているとは思っていなかったようで、入ってくるなり驚いたようだった。


「…お、お帰りなさい。」


 みのりが肩をすくめて声をかけると、


「……ただいま、です。」


 遼太郎は少しくすぐったそうに答えた。自転車で急いで帰ってきたらしく、少し汗ばんで息が上がっている。


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