Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「……あ、……ああ。……よかった。夢……。」
みのりは深く息を吐いて、肩の力を抜いて目を閉じる。それでも、溢れてくる涙は止まらなくて、手の甲でそれを拭った。
「怖い夢でも、見ましたか?」
と、覗き込んだ遼太郎の顔を見て、みのりはもっと涙を溢れさせる。
何も言葉にならないみのりに、遼太郎はそっと腕を伸ばして、慰めるように抱きしめた。みのりもすがるように、遼太郎の胸にもぐり込んだ。
ただじっと抱きしめていると、遼太郎の体にみのりが震えているのが伝わってくる。こんなにも震えて、みのりは何に怯えているのだろう……。
遼太郎が想像を巡らし始めたとき、みのりがようやく口を開いた。
「……遼ちゃんが、大学で刺される夢だったの。……陽菜ちゃんに。」
それを聞いて、遼太郎の体にも震えが走った。遼太郎自身が陽菜に刺されるかもしれないと思う恐怖からではなく、みのりの心が負っている傷があまりにも痛々しくて……。
「大丈夫です。俺は、みすみす長谷川にやられたりはしません。」
「……でも、後ろからこっそり忍び寄って、刺したのよ?」
みのりが言葉を絞り出すと、その体の震えはいっそう大きくなる。