Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
そんな不安に加え、遊園地でのみのりを思い出す度に、みのりの側を離れられないという、焦燥にも似た気持ちが遼太郎の中にこみ上げてくる。
『遼ちゃん…!』と繰り返し、しがみついてきたみのりを置いて行くことを考えただけで、遼太郎の心は引き裂かれるように痛む。
こんなに想い合っているのに離れてしまったら、二人の心はどうなってしまうのだろう…。
「ああ、狩野先輩すみません。片づけてもらって。」
1年生の佐藤が、マーカーを集めて回っている遼太郎にそう声をかけて、重ねられて遼太郎の手にあったマーカーを受け取った。
我に返った遼太郎は、佐藤の顔を見て、いつも一緒にいた荘野の姿を最近見ていないことに気が付いた。
「そう言えば、荘野はどうした?」
遼太郎から訊かれて、佐藤は表情を曇らせる。
「…荘野は、辞めました…。」
「辞めたって、部活を?」
「いえ…、学校を辞めたんです。」
「えっ…!?」
遼太郎は、学校を辞めるかどうか悩んで泣いていた荘野のことを思い出した。
結局荘野の力になれなかったことが悔やまれたが、何よりもみのりが落胆して心を痛めているだろうと思うと、いたたまれなかった。