Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「だけど……、三年……。ううん、二年でも、一年でもいい。その間は、あなたの人生の一部を私にください。どうか、私の側にいてください……。」
みのりは遼太郎の寝顔に向かって、静かに語りかけた。
遼太郎への想いは〝永遠〟だけれども、この二人の時間が永遠に続くことが叶わないのならば……、この一緒にいられる時の間に、一生分の想い出を作っておこうと思った。遼太郎の笑顔はもちろん、この寝顔も怒った顔も、肌や髪の感触や匂いもすべて記憶の中にとどめておいて、一生自分を慰めて癒してくれる宝物にしておこうと思った。
あまりにも切なくて、みのりの目から涙が零れ落ちる。
体の火照りも冷め、秋の夜の空気の冷たさが裸の上半身に沁み込んでくる。ひとしきり泣いたみのりは、涙を拭い、遼太郎の傍らにもぐり込んだ。
ふと目を覚ました遼太郎が、薄く目を開けてみのりを確認すると、また微笑んでその腕の中に抱え直す。遼太郎の胸に耳をつけて目を閉じると、その規則的な鼓動を聞こえてくる。みのりは深く息を吸って遼太郎の匂いを感じながら、深い眠りに落ちていった。