Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
キスを受けながら、みのりの胸も切なさにキュッと軋んだ。離れたくないのは、みのりも同じだった。できることなら、深まる想いに身を任せたい。……だけどやっぱり、こうやって愛し合ってばかりいられない事情もある。
みのりは少し強引に、唇を離した。そして、かつての教師の顔をちょっぴり覗かせる。
「こんなじゃ、私がずっと側にいると、遼ちゃん、どうなっちゃうの?」
本当にこんな調子では、愛の行為に耽ってしまって、勉強も就職活動もままならなくなりそうだ。不服そうな顔つきの遼太郎に、みのりは優しく微笑みかけた。
「こうやって一緒にいると、お互いのことで頭がいっぱいになっちゃうから……、今はちょっと離れて、たまに会うくらいがちょうどいいのかもね」
みのりにそう言って諭されて、遼太郎は観念した。みのりの肩を掴む手の力を緩めて、みのりを解放すると、気を取り直すようにタオルを手に取って、みのりの体から先に拭き始めた。
少し遅めの朝食を食べ、みのりは慌ただしく帰る準備を整えた。それから、遼太郎に付き添ってもらって、予定通りに病院へ行き、抜糸の処置をしてもらった。
「もう、痛くないし、治ってるから、遼ちゃんはホントに気にしなくていいの。」
ケロリとした表情でそう言ったみのりに対して、遼太郎はまだ顔を曇らせる。