Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「でも、傷痕は残りますよね?」
遼太郎の言う通り、傷痕は残ってしまうだろう。そして、きっとそれは、生涯消えることはないだろう。
「それは……、遼ちゃんのことを好きな証拠よ?私の勲章なんだから」
遼太郎を慰めるためではなく、みのりが本心からそう言ってくれていることは、翳りのない満面の笑みを見れば分かる。そのあまりの可愛らしさに、遼太郎は久々にクラリと目眩を感じた。
みのりは本当に、不思議な存在だった。こんなふうに透き通るように可愛らしかったり、思わずドキッとするほど色気があったり。大人なのに無邪気で、大人しそうにみえてユーモアがあって。教師としてはしっかりしてるのに、思いがけないところでドンくさくて。
そんなみのりがいつでも一貫していることは、とても純粋だということ。純粋だからこそ、これまで生きてきた中で傷つくこともあっただろう。それでも、純粋であり続けられるみのりの〝強さ〟に、遼太郎の心は震えた。
そして、みのりはそんな強くて澄んだ心で、好きになってくれた。ずっと憧れていたみのりの恋人になれたなんて、今でも信じられないような気持ちになる。
……でも、昨晩は……。昨晩抱き合った時の情熱的なみのりを思い出しただけで、遼太郎は体中の血が逆巻くようだった。