Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
もちろん、毎日会いたくて寂しいと思うし、抱きしめてもらいたくて切なくはなるけれど、みのりは愛しく想う気持ちを〝強さ〟に変えた。
こうやって、遼太郎を想えば想うほど、きっと遠い空の下で遼太郎の未来が拓かれるんだと……。そして、人間として一回り大きくなった遼太郎に会うことができるんだと……。
明日から冬休みということもあって、センター試験目前の三年部は別として、職員室はいつもよりゆったりとした放課後だった。みのりも三年生の個別指導を二人ほどしたが、授業の準備などの慌ただしさはなく、久しぶりにのんびりできていた。
心に余裕ができて、みのりはハタと気がついた。……それにしても、目の前のこの机の散らかり方はどうだろう?
「………。」
乱雑に積み重なった日本史関係の資料や問題集、必要なのかどうなのか分からないプリント類や書類が散乱している。普段の忙しさに紛れて、なおざりにしているツケが大分溜まっているようだ。
みのりはため息を一つ吐いて、机の上を片付け始めた。
「おやおや、珍しいことしてるじゃない。」
側を通りかかった同僚の由起子が、笑いながらそう話しかけてくる。