Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「そうでしょ?だから、雪が降ってるんじゃない?」
手を休めず、そう言って肩をすくめるみのりに、由起子はもっと面白そうに唇を歪ませた。
「うわ!そりゃ、吹雪になる前に早く帰らなきゃ!」
「そうそう。パチンコなんか寄ってちゃ、大変なことになるよ。」
冗談を言う由起子に、みのりも面白そうに冗談を返した。その笑顔に、由起子は女ながらに魅入られてしまう。
「仲松Tも、帰らないの?イブなのに、何も予定はなし?」
「なーんにも、ないない。〝干物女〟だから寂しいもんよ。」
「仲松Tは干物じゃないよ。ホントの干物女は、そんな笑い方できないって!」
「……笑い方?」
そんなに変な笑い方をしているのかと、みのりはふと片付けている手を止めて、由起子へと向き直った。
「うん、笑い方。もともと綺麗なんだけど、特に最近、柔らかくて優しくなったなぁ……なんて。」
思わず口を衝いて出てきた由起子の率直な言葉を聞いて、みのりがジッと由起子を見つめると、その真っすぐで澄んだ瞳を見て、由起子はパッとその顔を赤くした。
「……あ、ありがと。」
少し恥ずかしそうにそう応えたみのりは、自分でも意識せずに、もっと可憐な笑顔を見せていた。由起子も少し恥ずかしそうに肩をすくめると、自分の席に戻っていった。