Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
柔らかく、優しく――。
みのりにそんな変化をもたらしてくれたのは、遼太郎の存在にほかならなかった。みのりを想ってくれる遼太郎の心がみのりに沁み透って、遼太郎を想うみのりの心が内側から輝いて、知らないうちにそんな変化が表れてしまったのかもしれない。
そんなことを考えていると、やっぱり無性に遼太郎に会いたくなる。日が暮れて、暗くなった空から落ちてくる粉雪を見つめているだけで、どうしようもなく切なくなる。
今ごろ、遼太郎のいる街でも雪が降っているだろうか……。
その雪を眺めながら、同じようにみのりを想ってくれているだろうか……。
みのりが机を片付けた後、細々とした雑用を終えて帰途に就いたのは、もう夕食の頃になっていた。
ふわふわと落ちる粉雪の中、自動車を走らせながら遠くに近くに灯る家々の灯りを見て、その下の温かく明るい家族の光景に思いを馳せる。
思えば、ほんの短い間だったけれど、遼太郎と一緒に暮らせた一週間は、夢のような時間だった。本当に穏やかで明るくて温かくて……。ずっとあの時間が、永遠に続けばいいと思った。
そして今も……、遼太郎を心に宿らせるだけで、こんなにも温かくなれる。以前は思い出すだけで、心が切り刻まれるように辛かったのが嘘のようだった。