Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「先生って、お寺の子なのにクリスマスのお祝いするんですか?」


 面白そうにそんなことを言ってくる遼太郎に、みのりもドアの鍵を開けながら、楽しそうに笑ってみせる。


「あ!遼ちゃん、そんなイジワル言うんだ?」

「イジワルじゃありません。素朴な疑問なんです。」

「それじゃ、お祝いできないから、遼ちゃんはおうちに帰る?」


 ドアを開けたみのりは、その動きを止めて、そんなふうに言い返してみる。すると、遼太郎はハタと棒立ちになった後……、大股でみのりに歩み寄った。そして、返事の代わりにみのりの顔を覗き込むと、その唇に口づけた。


 数か月ぶりの感覚――。みのりの意識がそこに集中したとき、


 ドサッ!


と、鈍い音が響いた。

 二人は同時に唇を離して、足元を見る……。そこにはみのりの手から落ちてしまったケーキの箱……。


「…………。」


 二人は無言で顔を見合わせた後、みのりはその顔を真っ青にした。


「……わ、私っ!またやっちゃった!!せっかく遼ちゃんが買って来てくれたのに……!」


 しかし、遼太郎はそんな相変わらずなみのりを見つめて、満たされたため息をついた。


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