Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
そう言われても遼太郎は、みのりをそこへ連れて行くと必然的に奢らせることになるのでは…と懸念した。
しかし、それを懸念するよりも、当のみのりの姿が見当たらない。遼太郎と同時にそれに気づいた二俣が、声を上げた。
「みのりちゃんがいないぜ?まさか、帰ったのか?」
そう言いながら、マネージャーのところへ、所在を確かめに走って行った。
「…みのりちゃん、用事があるからって帰ったらしい…。」
戻ってきた二俣は消沈した面持ちで、遼太郎の様子を窺った。
何も言わずに帰ってしまうなんて、みのりの様子がおかしいのは気のせいではないらしい。
先ほどのみのりの声の響きを思い出して、遼太郎は後悔で唇を噛んだ。
遼太郎は自分の感情を二俣に読まれまいと懸命になったが、勘の鋭い二俣には隠しようがなかった。
「…ま、遼ちゃん。とりあえずお好み焼き食いに行こうぜ。話はそれからだ。」
二俣は、息を抜きながら遼太郎の肩を叩いた。
できることなら、二俣に自分の中に渦巻いていることの全てを打ち明け、相談したかった。しかし、遼太郎の悩みはあまりにも深く混沌としていて、どれも切り出せるようなものではなかった。