君に出逢わなかったら…。

[ビビビビッ!!ビビビビッ!!]
目覚ましの不快な音で目覚める朝。
今日も1日が始まった。

うちは階段を下りる。
階段を一段さがると
いい匂いが近づく。







昔はそんな幸せな朝だった。
けど今は違う。
朝起きても
「おはよう」
って言ってくれる人がいない。
お母さんは…
お父さんが亡くなってから朝ご飯を作らずにいつも寝てる。
お兄ちゃんも寝てる。
お兄ちゃんは高2。
いつも遅刻して高校に通っている。

「おはよう」
なんて、たった4文字の言葉だけど、おはようって言葉があるのとないのとじゃあ全く違う。
ないと結構寂しいものだ。

うちは食パンを食べて、制服を着、髪の寝ぐせを直して、学校へ向かう。



ほんとはゆかと一緒に行きたいけど
今日から一週間、あいさつ運動ってのがあって、生徒協議会に入った真面目ちゃんなゆかは、毎朝早く学校に行って、それに参加しなきゃいけない。

だから一週間、うちは一人で学校に行く。


ゆかがいないと寂しい。
15分の道が、1時間にも思える。



やっと学校に着いた。
小学校が隣で、懐かしく感じる。



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