Dear…
穏やかに波打つかのような、蒼い蒼い、海の真ん中一隻の船が浮いている。

「シュウっ、ほら見てっ、あの島だよね!?」

絆がグラスグリーンの瞳を輝かせながら、背後で煙草を吸っていたシュウを振り返る。

「そう、あの島だ。そしてこれが今回届けて貰う手紙。」

そう言って、シュウは懐から一通の手紙を取り出した。
手紙を見た絆が、少し哀しげに瞳を細めながらそれを受け取る。

「ん?」

手紙に触れながら、絆が首を傾げる。
絆は封筒を軽く振って、手紙以外の何かが入っていることに気付くと、ちらりとシュウに視線を送る。

「出血大サービス?」

絆の言葉にシュウが黙って、微笑む。
それはまるで、悪戯がばれた子供のような微笑みだった。
< 14 / 20 >

この作品をシェア

pagetop