Dear…
「ナギサさん、ですか?」

少年が僅かに首を傾げた。
その仕草にさえも、私はつい魅入ってしまいそう。
ぼんやりとした気持ちで、私はこくりと頷いた。

「郵便です。」

蕾が綻ぶような笑みを浮かべ、少年は真っ白な封筒を私に差し出した。

(私に…郵便…?)

一体、どこの誰からの?
顔にまで不信が表れていたのか、少年の笑顔に困ったような色が混じる。

「あなたの事を、とても大切に思われている方々からの手紙です…どうか、受け取って下さい。」

哀願するかのように言って、少年は私の手を優しく取ると、それに封筒を握らせた。
紙だけだと思っていた封筒は、しっかりとした感触で、何か別の物も入れられていることが、伺い知れる。
< 19 / 20 >

この作品をシェア

pagetop