Dear…
「ごめんください」

呼び鈴の後に落ち着きのある声が聴こえて、女ははっと部屋を飛び出した。

「どちら様で?」

階段を駆け下りて声をかける。

「郵便です」

その言葉にゆっくりとドアを開ける。

(もしかしたら…もしかしたら彼からかもしれない)

希望に高鳴る胸を押さえて、女は顔を上げると息を飲んだ。
そこには、美しい1人の少年が立っていた。

「どうぞ」

少年は手紙を差し出して、首を傾げてみせた。

「有り難う」

手紙を受け取りながら、少年のグラスグリーンに輝く瞳に女は魅入った。

「何か?」

少年に言われて、はっと我にかえる。

「あなたの瞳。とても綺麗な色をしているのね」

女が歌うように言う。

「そうですか?」

少年のがそう言うと女はふふっと笑った。

「ええ、とても綺麗。」

女の言葉に少年が照れたように微笑む。

「有り難う御座います」

少年はそう言うと頭を下げた。

「あなた今幾つなの?」

女が優しく微笑みながら聞く。

「17です。」

少年は頭を上げるとそう答える。

「そう。お仕事頑張ってね」

女がそう言うと少年はにっこりと笑みを浮かべた。

「はい、ではこれで」

そう言って少年は去って行った。
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