転校生は幼なじみ。
午後のHRも終わり残るは帰るだけということになった。
長い春休み明けということもあってとてつもないほどの疲労感である。
 今にでも家のベットで寝っ転がってアニメを見たい。
俺は2年生になっての目標という無意味なものを書くために机の上に出した筆箱をさっさとしまう。
 未来のための目標を考えるより今を楽しんだほうが絶対いい。
そのとき、俺の隣で前世はカメレオンじゃないのかと疑うほど顔の色を変えた平山さんがいた。
 無視して帰るには心の中にある微量の善意が痛む。
「おい、どーした。腹でも壊したか。」
「あ、アハハハハハ……、な、なんでもないよなんでも。」
「そんな訳あるかよ。ほれっ、絶対に笑わないから俺に相談してみろ。」
「…………私の家はどこですか」
「プッッ」
俺は反射的に笑ってしまい、平山さんは机に突っ伏したまんま動かなくなった。
 家が分からなくなったって、小学生かよ。
 迷子の迷子の子猫ちゃん、あなたのおうちはどこですかっと。
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