転校生は幼なじみ。
「まぁまぁ、そろそろチャイム鳴るし、早く教室戻らないと」
美紀ちゃんが空気を読んで古佐田との間に入ってくる。正直美紀ちゃんが止めてくれなかったら危なかったのかもしれない。
(俺も、古佐田も)
俺にも古佐田にも隠していたい過去はある。そして古佐田とは同じような過去を持っている。というか昔から知っていた『あいつ』だということは想像がついた。
古佐田と視線がそれるとき、目が絶対に言うなといっていた。向こうも俺の存在に気付き、お互いの為にも黙っておくことにしたようだ。
正直ありがたい。まだこの事実は知られたくない。
「ほら、そうカッカせんで次の授業行くよ。次、音楽だから音楽室行かんと」
相田も場の空気を変えようとする。だけどその目には焦りが見えたような気がした。
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