ぼくのことだけ見てなよ
「そっ、それは……」
「んー?それはぁ?」

ひとりの女子が口をモゴモゴさせると、美島はその子の顔を覗き込んだ。

「た、ただのガサツな子じゃない!!」

これはまた……。確かにわたしはガサツだよ。ガサツだけどそれが理由になるのか、ちょっと疑問…。

「ガサツ?キミは、及川のなにをわかってるの?なにもわかってないくせに、人のこと言わないほうがいいと思うけど」
「……っ、」

彼女はなにも言えなくなった。なんか、そんなこと言われると調子狂うな。

「おーい、席つけよー。なにやってんだ、そこ」

ちょうど担任が来て、女子たちもみんな自分の席へと戻って行った。

「ねぇ、なんでわたしなの?わたしじゃなくたっていいじゃない」
「なんでって言われてもなぁ。なんとなく?」
「はぁ?」

なんとなく、って…。そんなんで選ばないでほしい。ほら、いろんな女子たちに睨まれてるし…。

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