ぼくのことだけ見てなよ
***

「椿姫ちゃん、大丈夫?」
「だいじょばないかも……」

昼休み。わたしたちは、屋上に来ていた。

教室になんとなく、居づらくて…。それを感じ取った那津が、屋上に連れ出してくれた。

「もう、なんでわたしなのかなぁ…」
「美島くん、椿姫ちゃんのことお気に入りって感じだよねぇ」
「やめてよー」

お気に入りとか、ホント迷惑。これからどうなっちゃうのかな…。

「あー、いたいた!」
「げっ…」

お弁当を突ついていると、うしろから声がして、見ると例の二人がいてガックリ肩を落とした。

「そんなあからさまに、イヤがんないでよー。見当たらないから、探しに来たんだから。な、楓」
「な、って探そうって言ったの、孝宏でしょ」
「いや、楓だって心配だったろ?」
「べつに。鈴井さんなら心配になるかもだけど、及川なら大丈夫でしょ」

………。いつもそうだ。〝及川なら大丈夫〟よく聞くセリフだ。

もう美島も松井もどうでもいい。わたしは無視して、お弁当を食べることにした。

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