ぼくのことだけ見てなよ
那津はホント、カワイイ。口が小さいのか少量を口に入れてモグモグする。

かわい子ぶりっ子じゃなくて、どこ行ってもやるんだから、那津はこれが普通なんだろう。

「んーっ、やっぱ美味しいっ」
「そう?ありがとう」

那津の笑顔は、わたしを元気にさせる。わたしには那津がいるだけで、幸せになるんだ。

あー、でも少し残っちゃったなぁ。だって、二人ともピーマン苦手なんて知らなかったから。

仕方なく残したまま、お弁当を片付けた。

「あれ、もう食べないの?」
「え?うん、お腹いっぱいだし」
「………」

え、なに?なぜか、松井が黙り込んだ。なにか考えごと…?

「食う」
「え?なに?」
「ピーマン、食ってみる」
「いや、いいよ?無理しなくても。大丈夫、捨てたりしないから」
「だって、那津ちゃんも食えるようになったんだろ?俺も食ってみる」

変なの。さっきまで、いらないって感じの雰囲気出してたのに。

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