ぼくのことだけ見てなよ
「まぁ、大丈夫じゃない?」
「おまっ、なにを根拠に…」

松井が美島の発言に驚きすぎて、目が乾くんじゃないかってくらい目を開いちゃってる。

でも、次に発せられた美島の一言に、今度はわたしの目が乾く番になってしまった…。

「椿姫」
「うへっ…!?」

い、今…!つばき、って名前……しかも呼び捨てでっ…。松井も那津も、目がまんまるくなっていた。

「もし、だけど。なにかあったら、呼びなよ」
「み、しまを…?」
「ぼく以外に誰がいるの」
「うっ…ごめん、なさい…」

そりゃそうだ。でも、あまりにもビックリしたんだもん…。美島のことだから、なにも言ってくれないと思ってたから…。

「あの…」
「なに」
「呼んだら、来てくれるの…?」
「うん」
「でも、遠い場所にいたら…?」
「そんなの関係ないよ」
「来れる、の?」
「うん」

どっからそんな自信が出てくるんだろう。遠い場所にいたら、いくら呼んだとしても聞こえるはずないのに。

「だから、呼びなよ」
「……うん」

でも、頷いちゃったんだ。ピンチの時、美島が来てくれるような、そんな気がして…。

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