あの日のきみを今も憶えている


二日間は、快晴であるらしい。
朝の天気予報をしっかり確認した私と美月ちゃんは、楽しさとワクワクをいっぱい詰め込んだバッグを持って、家を出た。


「行ってらっしゃい、ヒィちゃん。って、うふふ」


玄関先まで見送りに出てくれた姉が、おっきなバッグを抱えた私を見て笑う。


「なに?」

「ううん。最近のヒィちゃんはすごく元気になったから、嬉しいなって」

「そう、かな」

「そうよう。美味しい朝ごはんつくってくれたり、お出かけが増えたり。
おねえちゃん、ヒィちゃんの卵焼き大好きよ。我が家の味とちょっと違って、でもすっごく美味しい」

「えへへ、チィさん、ありがとう」


おっとりと笑う姉の言葉に、私の横にいた美月ちゃんが言う。


「さあ、行ってらっしゃい。気を付けてね」

「チィさん、お世話になりました」


姉の前で、美月ちゃんが頭を下げる。
しかし、それはやはり姉には伝わらない。

美月ちゃんは肩でふっと息をついて、私に笑いかける。

「さ、行こうか」


私は小さく「うん」と答えて、姉に手を振った。


「行ってきます」


私たちが見えなくなるまで、姉は手を振って見送ってくれた。




「――お待たせ!」


待ち合わせ場所のバス停には、既に二人はいた。

私の、膨らんだ旅行バッグを見て園田くんが「でけえ」と言う。


「ホントだ、ヒィちゃん、すごい荷物だね」


穂積くんが私の荷物を見て笑う。



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