あの日のきみを今も憶えている
そして、当日。
感極まっている杉田先生と、園田くん、穂積くんの四人で私たちは会場入りした。


「ああ、泣ける。俺の生徒が、最高賞だぞ。くそ、俺、教師やっててよかった」

「先生、最近そればっかり」

「そうか? そう言えばこの間、津川にも『ウザイです』って真顔で言われた」

「そりゃあ、言うでしょ」


クスクスと笑っていると、スタッフの腕章をした男性が私を呼びに来てくれた。そろそろ私の番らしい。


「行ってきます。二人とも、みててね」

「おう!」

「ばっちり録画しておくね!」


園田くんは仁王立ちをし、穂積くんは手にしたカメラを振った。
そんな二人に笑いかける。


名前を呼ばれて、私は壇上に上がった。
私の絵は、仰々しく緋色の布がかけられていた。


「福原、陽鶴殿……」


テレビで見かける、オーラ溢れるおじさんから賞状と盾を手渡される。
そして、布がはらりと外された。


「内閣総理大臣賞受賞作『目覚め』です」


園田くんと、穂積くんが息を飲むのが見えた。

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