桜の花びらの記憶
「バカ、妹だよ」
頭の中でこだまする、お兄ちゃんの声。
―帰りが一緒にいてやれないのが心配だけど―
「バカ、妹だよ」
―話しできなくなるの、すげー辛いんだよ―
「バカ、妹だよ」
―俺、そばにいるの迷惑?―
「バカ、妹だよ」
―守ってやれると思ったのにさ―
「バカ、妹だよ」
妹だから助けてくれた。妹だから心配してくれた。妹だから守ってくれた。
お兄ちゃんの頭の中では、私はずっと妹だった。
お兄ちゃん、私妹じゃないよ。
妹じゃないよ、お兄ちゃん……。