桜の花びらの記憶
「この大学に行っちまうと、由梨とはなかなか会えなくなるな」
涙が出そうだった。
お兄ちゃんの口からそんなこと言うのは反則。
だめだ。
出るな涙。
声を出すと涙が出ちゃう。
笑顔をキープするのが精いっぱい。
「今月中には向こう行くからさ」
何か言わなきゃ。
「おめでとう」とか「応援してる」とか、「がんばって」とかうわべの言葉はいくらでも思いつく。
だけど、もっともっとお兄ちゃんが言ってほしい言葉があるはずだ。
「ありがとな、由梨。お前の元気に今まで結構励まされてきたからさ。またこうやって話ができるようになってほんと良かった。一年間一緒に登校で来てほんと……よかったよ」
お兄ちゃんは握手するように私の手を握った。
この手のひらから私の気持ちが全部、全部届いてほしい。
言葉にできないこの気持ちを全部。
涙が出そうだった。
お兄ちゃんの口からそんなこと言うのは反則。
だめだ。
出るな涙。
声を出すと涙が出ちゃう。
笑顔をキープするのが精いっぱい。
「今月中には向こう行くからさ」
何か言わなきゃ。
「おめでとう」とか「応援してる」とか、「がんばって」とかうわべの言葉はいくらでも思いつく。
だけど、もっともっとお兄ちゃんが言ってほしい言葉があるはずだ。
「ありがとな、由梨。お前の元気に今まで結構励まされてきたからさ。またこうやって話ができるようになってほんと良かった。一年間一緒に登校で来てほんと……よかったよ」
お兄ちゃんは握手するように私の手を握った。
この手のひらから私の気持ちが全部、全部届いてほしい。
言葉にできないこの気持ちを全部。