桜の花びらの記憶
 私はただの幼馴染。

 血のつながらない幼馴染み。

 気持ちを伝えることもできない幼馴染。

 この縁が切れてしまうのが怖くてたまらない。

 今離れたら二度と会えないかもしれないのに。




 伝われ、伝われ私の気持ち。

 伝われ、伝われ私の思い。




「由梨?」

 お兄ちゃんの声を合図にパッと手を離し、笑った。

「今、全部私の思い込めたから。たまには今の私の手の感触思い出してよね」 

 まだ出るな、涙!

 頑張れ私!

 お兄ちゃんの顔見て笑え!

「見送りには、行くから」


 そのまま駆け出し、家に帰った。
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