桜の花びらの記憶
 お兄ちゃん出発の日。

 泣きはらした目がばれないように冷やし、笑顔でお兄ちゃんの前に立った。

「じゃ、元気でな」

 お兄ちゃんの目は新しい生活を真っ直ぐ見ていた。

 もう、私にはこの一言しか言えなかった。


「またね」


 まだつぼみもついていない桜の木が揺れる。

 この桜が花開く頃、お兄ちゃんはもういない。

 その頃には、少しは前を向いて歩けているといいな。



         おしまい
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