桜の花びらの記憶
熱
「でもさ、由梨、何とも思ってない女の子のためにそこまでするかな」
「だってお兄ちゃんなんだよ」
「ほんとのお兄ちゃんじゃないわけでしょ?」
「うん、でも、一緒に育ったようなもんだし。今更、変に意識なんてしないよ」
「こっちはそうでも、向こうは違うかもよ~。お兄ちゃんだって、男だよ」
学校で友達にからかわれ、絶対そんなんじゃないのにと自分に言い聞かせてはみたが、考えてしまった。
お兄ちゃんが私のことを好き……かもしれない?ないない!そ、そんなことはない。
中学の時、何度か見かけたお兄ちゃんの彼女らしき人は、お兄ちゃんと手をつないで歩いていた。
お兄ちゃんの隣で手をつないでいるのが自分だったら、と想像して顔が熱くなった。