「素直じゃなくて、悪いかよ。」


持ってくれるわけないもんね。



前で歩いている雨を見つめながら、そう思う。



だって私の事が、嫌いなんだから。



重いから自然と歩くスピードも遅くなる。



……もう一人で帰ろっかな。



そう思い、雨に気付かれないように立ち止まっていると、



「本当に迷惑な奴。」



ポケットに手を突っ込み、不機嫌そうに私の方を振り向く雨。



その目は鋭く光っている。



……怖い。

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