「素直じゃなくて、悪いかよ。」
視線に気づいた池田君が、
「えっ?なんか、ついてる?」
……ひゃあ。見すぎた!
「う、ううん。何もついてないよ!」
……まさか、見とれてましたなんて言えない。
一人挙動不審になりながら下駄箱に着いた。
……ん。誰かいる?
こんな時間に。
部活も他の委員会もとっくに終わってるだろうし。
でも、あの背中って…
「あ、め……?」
私が、おそるおそる名前を呼ぶと、一瞬肩をビクッと震わせた。