「素直じゃなくて、悪いかよ。」
「ーっ。」
苦しそうに顔を歪める雨。
「……って事だから、幼なじみ君。僕達は帰るね?」
幼なじみ君と言う所を強調して言う池田君。
私も急いで靴に履き替える。
「……じゃあね、雨」
私が、一言そう言った後に池田君が、雨の耳元で何か言っていた。
私には、聞こえなかったけど。
「行こっか」
池田君と二人で歩き出していた私は、気づかなかった。
雨が、
「素直になれたら、なってるよ」
苦しそうに切なく呟いた事に。
『素直になった方がいいと思うけど。俺、芹沢さん貰うから。』